最近、とある女性とカフェに行ってたんです。
で、淹れたてのハンドドリップコーヒーを飲みながらおしゃべりしていると面白い発見があったのでシェアします。
「なぁ、聞いて!昨日、コストコに行ったんやけどめちゃくちゃ楽しかったんよ!」
「え?コストコってスーパーじゃないの?」
「ちゃうちゃう。アレはな、テーマパークや、テーマパーク!」
‥と、そこからコストコの話になっていき。
「でな!普通のスーパーの3倍ぐらい大きなハンバーグがあったんよ!ウチの顔5つ分くらい!」
「他にも、見たことない料理とかが並んでてな、もう歩き回るだけで楽しかったわ!」
「でな、結局、2万円ぐらい買ってもうたんよ!」
…え!?スーパーで2万円も使うとかマジ!?
と思って思わずツッコミましたね。
でも話を聞いている間、その子はずっと楽しそうにコストコの話をしてたんです。
なんというかディズニーランドに行ってきた思い出をワクワクしながら話す時みたいなテンション。
聞いていた僕も「コストコ、そんなにすごいなら行ってみようかな‥?」という気持ちにさせられました。
で、ですね。
コレがどうビジネスの話につながるのかというと。
人は買うのは好きだが、売りつけられるのは大嫌い
という話なんですよ。
ショッピングするのは好き。
だけど、売りつけられると反発します。
コストコで食べ物に使われた2万円ってどう考えてもその辺のスーパーと比べたら明らかに金額が桁違い。
一人暮らししている方は分かると思いますが、たかだかスーパーで1万円とか買い物するだけでも限界です。
しかも別に楽しいわけでもない。生きていくために食い物が必要なだけ。できるなら安ければ安いほうがいい。
仕事帰りの夜8時とかになって廃棄直前のセールで半額になった寿司とか揚げ物を買えればラッキー、くらいの感覚です。
それに対して冒頭の彼女は、コストコの食品売り場で食べ物を買った体験をこれでもかと楽しそうに話してくれたわけです。
なぜなら、買うのが楽しいから。
人は買うのが大好き。
買うことそれ自体に快楽があるわけです。
普段見かけないような珍しい料理や食材に心を踊らせ、
見たこともないサイズの肉に驚かされたりして
「おいしそう!食べてみたい!」とワクワクする。
まるで海外旅行で現地のローカルマーケットを楽しんでいるような気分になっているわけです。
つまり、楽しくて買う。
じゃあもしこれが「もう捨てるから買って」とかだったら「別に」となる。
「売りつけられた」と感じた途端、冷めるわけです。
服を眺めて選んでいるとアパレルショップの店員さんに「それいいですよね!あとは他にも…」とやたらおせっかいを焼かれて。
その瞬間に服を買う気持ちが冷めて別の店に行ってしまうアレです。
人は「売りつけられた」と感じた瞬間に冷めます。
じゃあ、売るにはどうしたらいいのさ?
ここで思うのが僕たち「売る」側の視点です。
どうやったら売れるようになるの?という話。
大事なのは「売ろう、売ろう」としないこと。
「ほしい」という気持ちになってもらうのが最優先。
例えば化粧水。
「コレ、おすすめです買ってください!」と言ったところで買う人はいません。
なぜならその化粧水である必要がないから。
選ばれる理由がない、
じゃあどうすればいいのかというと。
「男の自分は化粧水なんて…と思ってたけど、この化粧水を使ってカサカサだった乾燥肌が潤うようになって、年下の女性にモテたんだよね〜」
みたいなエピソードを語る。
そうすると同じような人が「え?自分もカサカサ肌だし、その化粧水使ってみようかな?」と。
ココで大事なのは「商品は邪魔」だということ。
別にわざわざ化粧水を使わなくても毎朝水で洗顔するだけでいいなら、そっちを選ぶわけです。
方法とか手段はぶっちゃけなんでもいい。
なぜなら求めているのは「男のカサカサ肌が潤うようになって得られる未来」だから。
じゃあ、どんな未来があるのか?
『同じ会社の女性から「肌キレイですね!何か気を使われてるんですか?」とトークの話題になって異性との出会いにつながった』とか
『肌がキレイになって印象が良くなり「自己管理できるやつ」だと認められるキッカケになって昇進のチャンスにつながった』とか。
化粧水を使った先にある未来。
それを買っているわけです。
それを見せれば「いいな」と思って買う可能性が上がる。
冒頭のコストコの話で言えば
「こんな珍しい料理を食べるの楽しそう!」という未来のワクワクのために買うわけです。
「こんなでかい肉を食べるの初めてかも!」というワクワクを満たすために買う。
なので、人はなぜ買うのか?と言われたら。
「未来」を買っているということ。
つまり「未来」を見せれば売れるということです。
もちろん、信頼してもらうために根拠を話したりする必要はあるかもしれません。
が、
そもそも「商品を買った後の未来」を提示しないと「欲しい」とすら思ってもらえないということです。
心が動かないから売れない。
いきなり説明しても「で?」となる。
当然、買ってもらえないし、売れないし、ウザいと思われる。
そういう意味で、
「人は買うのは大好きだが
売りつけられるのは大嫌い」
という話でした。
PS. 人をワクワクさせたりするビジネスって本当に凄いと思います。
ディズニーランドに人生で初めて行った時、魔法の世界に連れてこられたのかと錯覚するぐらい感動しました。
その夢の世界に自分がさらにドップリ浸かるためにキャラクターのカチューシャが売れたり、小腹が空けばチュロスがあったり…。
気がつけばものすごい金額で買い物を楽しんでいるわけで。
それらすべてあくまで「夢の世界」をさらに楽しむための付属品に過ぎないってことなんですね。
「商品」は邪魔。売るのは「未来」である。
コレ、ものすごい大事な視点です。
PPS. 冒頭で話した女性みたいな話ができるようになると、メディアを使ってモノを売るのもわりと得意になりやすいかなと。
彼女の話からも学べるものがあるのでぜひ読み直してみてください。