儲かっていない事業主の特徴は「商品を創る」ことにばかり集中していることです。
それはもう、細かいところにまでこだわります。
ただ、そういう人たちに限って「いい商品を作りさえすれば、お客は必ず集まる」という前時代的な発想にとらわれています。
いい商品を作れば売れる。
なんていうのはもはや「古代」の発想。
ってことは、もちろんご存知ですよね?
じゃあ、商品の質よりも大切なものはなにか。
・・・それは、商品の価値を最大限にして伝達することです。
つまりは、商品の魅力を最大化するということですね。
つまり、
「商品がいかに魅力的かを、売りたい人に向けてどう伝えるのか?」
これが死ぬほど重要になってきています。
なら、
- 広告を打っていろんな人の目に触れて貰えばいいのか?
- 大量にアクセスを集めて有名にすればいいのか?
- SNSで拡散して認知してもらえばいいのか?
と言われるとそういうわけではありません。
というより、個人事業主や、中小企業、零細起業に限って言えば、それをやっているうちに資金がショートして、すぐに頭打ちになるでしょう。
弱者には弱者なりの戦略が必要です。
どれだけすぐれた商品、アイデアでも人に受け入れてもらうことができなければ売れませんから。
たとえば、世間の人にとってエジソンの電球の発明の詳細なんてどうでもいいもの。
それよりも「生活の中にもたらされた明かり」が価値を持ちました。
一方は、エジソンという当時はまだ名もない研究者の発明品「電球」
かたや、人々の夜の生活に明かりを灯した「電球」という価値付け
同じ「明かり」なのに、これだけ違うって面白いと思いませんか?
明かりがあるから、夜でも家に光がもたらされるようになった。そのおかげで、晩御飯の食卓が明るくなり、子供が夜でも勉強できるようになり、結果として家族の暮らしがさらに豊かになりました。
これは「エジソンの発明した明かり」がもたらした未来です。
「電球」を売ろうとしても売れなかったでしょうね。
当時の人たちは「電球?何それ?何がいいの?」という状態でしたから。
そうではなくて、「電球」を使うと、生活がこんなに良くなるよ。
たとえば、夜、ご飯を食べる時にもっと美味しく見えるとか。
勉強する時に、ロウソクに火をつける必要すらなく、スイッチを入れるだけで明るくなる。(ロウソクの匂いが嫌いな人からしたら嬉しい)
こんな感じで「電球」そのものではなくて、「電球によってもたらされる生活の変化」に注目して、世に広まって行ったんです。
これはたとえ同じ「商品」を売っていても、「見せ方」でまったく違う結果が生まれたという歴史的な事例ですね。
最近の例だと、スマートフォンで考えてみましょう。
スマートフォンも実は今のiPhoneが出る前の前時代の機械がありました。
その時はタイミングが悪く売れなかった。
あなたも覚えていると思います。
専門家たちがこぞって
「ボタンのないケータイなんて絶対に売れない。誰も使おうとしないだろう。スマートフォンなんて物好きが使う道具だ!」
そうニュースではやし立てていました。
彼らは今はどう考えているんでしょうかね。
あの時の発言なんてすっかり忘れて、ポケットにスマホを入れているんでしょうか。
結果的に世界で7人に1人はスマホを持つ時代に変わりました。それは発明者であるジョブズが徹底的に顧客に対して未来を見せたからです。
ポケットにパソコンを入れるようなもの。
ポケットに何千曲と曲を入れられる。
ボタンがひとつしかない。
当時はかなり画期的な発明でした。
何より、Appleの商品が徹底的に顧客中心の視点に立っていたからこそ、あれだけ世に広まりました。
最初は「オタクの道具」だったパソコンがいつからか「おしゃれな仕事道具」になっているわけですから。
ようするに、人が何を求めているのか。
これを見抜く力がなければ、どんなにすぐれた商品も売れません。
商品を作る情熱なんて結局見られることはないんです。
ならそれを伝える努力をしなければならない。
その「情熱」がどうやったら顧客に伝わるのか。
「商品」だけ見せられても、誰も財布の紐をゆるめない時代になっています。
逆に、人が何を求めているのかを見抜ければどんなものでも売れてしまいます。
- 怪しいツボが売れるのはそれを求めている「人」がいるから。
- メイド喫茶がつぶれないのはそれを求めている「人」がいるから。
- 男性用のブラが売れるのはそれを求めている「人」がいるから。
常に「人」を相手にしている。これを必ず意識してください。
なので、冒頭で話した「儲からない事業主が商品を売る」という発想は少しズレています。
その商品を買った未来を売る、という発想が必要になります。
これはすでに言い古されてしまいましたが、「ドリルが売れるのはドリルが欲しいからではありません。穴を掘りたいから」です。
指をパチンと鳴らして魔法みたいに穴ができるなら、誰もドリルなんて要りません。
クレジットカードを申し込む人はクレジットカードが欲しいわけではありません。
海外旅行のための保険が欲しい人。
家のローンを組みたい人。
家電製品を購入するために分割払いをしたい人。
同じクレジットカードでもそれぞれ目的が違うわけです。
じゃぁ、その未来のためにこのカードが便利なんですよ、と伝えなければおそらくほとんどの人は「クレジットカード」なんて要らないでしょう。
未来が実感できなければただの「カード」ですから。
では、あなたが売りたいもの。
もしくは売ろうと考えているもの。
その商品を買う人は「なぜ、あなたから」買うのでしょうか?
買う人はどんな目的を持っているのでしょうか?
そして、どうして買いたいと思ったのでしょうか?
そこまで考えることができて初めて「売る」ということの本質を理解することができます。
「売る」というよりは「未来を提示する」という方が正しい気がしますけどね。
どんな分野においても「見込み客」に対して「どんな未来」を提供するのかがはっきりしていれば大枠でズレているなんてことは無くなるはずです。
なら個人事業主はどうすればいい?
商品をいつまでの開発している時間はありません。
個人事業主が成果を出すために大切なのは見切り発車することです。
特にアフィリエイトとか情報販売となると商品開発の資本なんてあってないようなものですから。
例えば、まずターゲットをリサーチしてその人たちの悩みに対する解決策に沿ってまとめたものをとりあえず提供してみる。
そして、反応やフィードバックを反映してさらにブラッシュアップしていく。
この方向で進めると、自然とひとりのターゲットにカスタマイズされた商品になっていきます。いわゆるオーダーメイドってヤツですね。
私はいつもそうしています。
ターゲットに合わせてオーダーメイドで作ります。
そのために、徹底的にリサーチしたり、実際に話を聞いたりします。
で、本当はこういうものを求めているんじゃないかなと思えるようになってくる。
「これだ」と思ったもので今まで外れたことはありません。
というより「当てにいっている」わけですから。
「マニアックだけど確かに売れるもの」って日常にもたくさん転がっていますよ。
男性用のブラとかその例ですよね。マニアックすぎて買う人がいないはずなのに確かに売れている。
初めは、そんなもの買う人いないと思っていましたが、結構な金額で取引されているのを知って、びっくりしました。
「これは必要だ」と思っている人が確実にいるから売れているわけです。
で、アンケートとか反応を見ながら少しづつ改善していく。
ようするに、最初から完成している状態はないってことです。
きちんとそれを買ってくる人を見る。
たしかな「ニーズ」を感じ取って、そこに訴求していく。
データももちろん大切です。
それに加えてデータから「人」を感じ取れているかどうか。
これが重要になります。
ターゲットに合わせてカスタマイズされた商品は、基本的に値段に関係なく売れていきます。
人は自分のために作られたものに対しては価格を無視した価値を感じるものですから。
レディガガのライブとレディガガが自分のために誕生日ソングを歌ってくれる。
果たしてどっちにさらに価値があるのか?
それは、「あのレディガガが世界でたった1人のために誕生日ソングを歌ってくれる」方ですよね。
オーダーメイドの価値は「自分のために存在する」という希少性にあります。
たくさんコーヒーがある中で、スターバックスのコーヒーの値段が多少高くても売れる。
なぜなら、その値段でもいい。むしろもっと高くてもいいという人がいるからです。
安さを求める人はスタバに立ち寄るようなことはありません。
言い方を変えてみれば、スタバの側から「お客さんを選んでいる」ということです。
私はスタバのコーヒーが大好きです。
週5日通っても飽きません。
これは見事に戦略にやられているわけですね。
好きな人からもらったプレゼントの値段を気にしないのと同じです。(〇〇円だから嬉しい!)なんて考え方はしないはず。
同じ「プレゼント」だったとしても「好きな人から」というコンテクストが、商品の価値を引き上げます。
なので、お客にとって「これは私の悩みを解決するのにドンピシャな情報だ!」と思ってもらうことができればレジをチーンと鳴らすことができます。
「そうそう、これが欲しかったんだ!」と思わせる。
(「思わせる」というのがミソです。「煽る」とは天と地ほど違います。)
これはあなたのためのプレゼントです。
と実感してもらえるものを提供するってことですね。
つまりですよ。
大企業と比べて規模の小さい個人が生き残っていくために大切なのは「オーダメイドの商品を最適なターゲットに対して提供する入り口を開拓する」が最善です。
競合はグッと減りますし、
濃い関係が築きやすいので、少ないリストでも長期繁栄しやすい。
いわゆるニッチにアクセスするという視点。
読者が本当に欲しがっているものは何なのか。どんな悩みを抱えているのか。
それに徹底的に合わせていくアプローチが弱者のための戦略です。
何度も言いますが、いい商品だけ作れても結果にはつながりません。
その商品を認知してくれる人がいないと誰も買おうだなんて言ってくれませんから。
お客を集める力のある人を頼るか、自分で入り口を作り出すしかない。
ここまで読んできて感じていると思いますが、この世で最も儲かるスキルは「適切なお客を呼び込むスキル」です。
商品はなんでもいい。「ほしい」と言ってくれる人を集めるスキルがあれば、どんな商品でも売ることができる。
その商品を「欲しい」と思っている人はどんな未来を求めているのか?
なぜ、その商品を欲しいと思ったのか?
どうすれば、商品が魅力的に感じてもらえるのか?
これさえクリアできれば、仮に悪い商品(いわゆる詐欺商材)ですら売れてしまうわけです。
そういう意味では、詐欺的な商売をしている人たちから学ぶべきことは多いと思いませんか?
少なくとも彼らは「売って」いるわけですから。
もちろん詐欺はいいことではありません。
いい商品は誰でも改善していけます。
だから完成なんて考えないでとりあえず見切り発車する。
クレームがあれば、その度に即改善すればいいだけです。
クレームはむしろチャンスですから。
逆に何も反応を得られない商品は「無関心」ということですから、そもそも存在価値がありません。
そんな失敗をしないためにも見切り発車で商品を提供していく。
常にお客さんを中心にして商品を発想・改善していく。
これが儲かっている人たちの考え方です。
残念ながら
「最適なターゲットにアプローチするための道を開拓するスキル」
を身につけている人は日本では少数しかいません。
みんなそれができれば、アホみたいな費用で広告を打たなくてもお客を集められているわけですから。
そんな人は自分でお客を集められるので、そもそも会社に勤めていないと思います。
なら、その少数になることができれば・・・?
おわかりですね。
商品を売るのは「古代の発想」だと思ってください。
これからは「未来を売る」があたりまえです。
ものではなくコトを売る発想がより大切になります。
そこにたどり着くために必要なのは「思考」であり、「俯瞰」する力になります。
人を理解し、踏み込んでいく力。
そういう意味ではコミュニケーション能力といってもいいかもしれませんね。