どうも、らいあんです。
「神は細部に宿る」は時として数千万円の付加価値を生む。
という話をします。
あなたはご存じですか?
こだわりを持つ男はモテるそうですよ。
最近、とある女子大生に「こだわりのない男はつまらないです」と言われました。
草食系はナヨナヨしてる、男らしさがない、魅力が感じられない、と。
「自分でガンガン攻める姿勢がある男性が魅力的です」と言われてドキッとしました。
というのも「お店の予約も取れない男性」がいるそうなんです。
「どのお店がいいのか分からない。だからどこでもいいよ?任せる。」と言われたそうです。
「これって要するに投げ出してるってことですよね?人任せってことじゃないですか!」と。
「なので引っ張ってくれる男性の方がついていきたいって思います。」と。
「グイグイ引っ張ってくれる男性は同年代に全くいません。包容力があって、こだわりがあって、グイグイ引っ張ってくれる男性は魅力的なんです。」
…こだわりのない人間は人から相手にされません。
こだわりが人を惹きつけるとすれば、「神の如き所業」のこだわりは世界にインパクトをもたらします。
熱狂的なこだわりを持つことは時としてビジネスを動かします。
「神は細部に宿る」とは細部までこだわり抜かれた作品はまるで神が宿っているかのように素晴らしい、という意味。
英訳だと「God is in the details」
理念を貫き、徹底したデザインを突き詰めた世界は人を惹きつけ唯一無二の価値を持ちます。
スティーブ・ジョブズの「神は細部に宿る」エピソード
「神は細部に宿る」という言葉を聞いてまず浮かべるのはスティーブ・ジョブズです。
Appleの製品は唯一無二と言っていい「Apple市場」とでも呼べるような地位にいます。
それを生み出したスティーブ・ジョブズのこだわりが生まれたエピソードがあります。
ジョブズの父親は、機械工作や車の修理をする上で、裏側まで丁寧に作っていたそうです。
それを少年のころから側で見て育ったジョブズは『完璧を求めるのであれば、見えない部分にまで徹底的にこだわらなければならない』という考えを持つようになります。
これはジョブズの小説を読んでいて面白かったエピソードですが。
ジョブズは最初に出来上がったApple II(初期型のパソコン)を見て、何の問題もなく完成していたのに作り直しを命じたと言います。
…あなたは何でだと思いますか?
というのも、「基盤のラインが曲がっている。真っ直ぐにしろ。美しくない。」という理由です。
とんでもないですよね。
メカニックの人ですら見ることがないような基盤のレイアウトまで徹底的にこだわりを突き詰めていたんです。
曲がっているだけで作り直しを命じる。
作った側からすればとんだとばっちりなわけで。
「なんでだ!完成しているんだからいいじゃないか!」というのが普通の感覚。
でもジョブズは違った。
見えない部分まで徹底的に手を抜かない姿勢が製品にも現れた結果がAppleの製品なんだと。
この「神を細部に宿らせる」こだわりはiPhoneに至るまで受け継がれるAppleの思想になったそうです。
「Think Simple」という理念に基づいたこだわりが唯一無二のポジションを創り出したわけです。
ジョブズは「顧客はこれを求めている」という狂気にも似た信仰に基づいて徹底的に突き詰めました。
狂気的なレベルのこだわりだったからこそ「細部に神が宿る」かのように優れた製品へとつながっていったのではないでしょうか。
いわばAppleの「Think Simple」を徹底的に突き詰めたからこそ人を魅了するような製品になったと。
おそらくどこかで「手を抜いて」しまうと分かる人には分かるんでしょう。
これぐらいで納得してもらえるんだという基準値が広まってしまうとクオリティも下がっていくことになります。
仕事でよくあると思うんですよ。似たようなことって。
これくらいでいいや、とか。
そういう手を抜く気風というのは伝染していきます。
昔はうまくサボるのがかっこいいと思った時期もありましたが、ぶっちゃけカッコ悪い。サムい。
僕の発信スタイルも一般的なブロガーとは違うと思います。なぜならそもそもたくさんの人に読んでもらうことに重きを置いていないからです。
刺さる人にブッ刺すことを目的にしている。
もちろんたくさんの人に読んでもらって考え方が変わった人がいれば嬉しい。
でも結局、インパクトを残さないと何もないのと同じです。
だから、本当に必要としている人に刺さればいいなというこだわりを持っています。
シンプルであることは、複雑であることよりもむずかしいときがある。物事をシンプルにするためには、懸命に努力して思考を明瞭にしなければならないからだ。
だが、それだけの価値はある。なぜなら、ひとたびそこに到達できれば、山をも動かせるからだ。Steve Jobs
Details matter, it’s worth waiting to get it right.
細部にこだわる。それは時間をかけてもこだわる価値のあるものだ。Steve Jobs
「神は細部に宿る」の対極にあるのがコモディティ化
「神は細部に宿る」というこだわりの対局にあるのがコモディティ化です。
コモディティとは当初、取り替え可能な部品という意味で使われていた言葉でしたが、人材に対しても使われるようになります。
コモディティ人材という言葉を大々的に当てはめたのが瀧本氏。
コモディティ人材とは「決められた時間に出社して、決められた仕事を決められた手順で行い、あらかじめ予定していた成果を上げてくれる人」
瀧本哲史
−『僕は君たちに武器を配りたい』
いわば取り替え可能な部品・パーツ。
僕たちが文房具屋に行った時。鉛筆が100種類あってもぶっちゃけどれでもいいように「こだわりのないコモディティ人材」というのは市場価値が下落していっていると言うのは当然の流れだと思います。
誰でもできるようなことを誰でもできるようなレベルでしかやらない人は埋もれていって当然だと思いますよ。
宮崎駿さんの語る「カオナシ」の定義もこれとよく似ています。
宮崎駿監督は、『「カオナシ」のモデルって誰なんですか?』と聞かれ、なんと答えたと思います??
ふっふっふと笑いながら、
「山手線にいっぱい乗ってますよ」
と答えたそうです。宮崎駿
「カオナシについて」インタビュー
カオナシは満員電車にたくさん乗っているそうですよ。
どういう意味なんでしょうかね…?
自分の考えを持たず、信念もなく、こだわりもない。
そういう人は何の魅力もなく誰からも相手にされません。
「神は細部に宿る」の威力を実感したイタリアンシェフとのエピソード
ジョブズほどではありませんが僕自身、細部に神が宿る本当の威力を味わった経験があります。
あるイタリアン料理店でホールとして働いていた頃の話。
「おい、らいあん。ちょっとこっち来てみ。ほら。」
キノコの山を差し出された。
「どうだ?」
「え、ものすごいキノコのいい香りがしますけど。」
「だろ?実はキノコの香りを引き出す秘訣があるんだよ。」
「え?なんですか?」
「ホラ。こっちこい。これだ。これ。」
とシェフはキノコを揉み揉みしだした。
「揉むだけだよ。女性の胸を揉むように優しく揉むんだ。」
「何いってんすか(笑)。」
「アレだ、愛情込めろってことだよ。」
「キノコひとつとってもな、普通の料理人は切って終わりだ。でも、キノコは菌だからこうやって揉んであげるとさらに香りが引き立つんだよ。」
ほぉー!
「だからな、らいあん。お前もお洒落なパスタ作れたら女の子にモテモテだから覚えとけ。キノコのパスタ作るなら、キノコはモミモミ、だ。忘れるなよ?」
…実際、女性に作ってめちゃめちゃ喜ばれました。
「今まで食べてきたどのパスタより美味しい」と感激です。
その子は普段、サバサバしてるタイプだから嘘じゃない。
神は細部に宿るってこういう事だと思う。
同じパスタでもわずかな手間の違いで天地の差が開きます。
その時は「じゃ、お前も作ってみ」と閑散期だったのもあってホールなのにパスタを作る練習をさせてもらいました。仲が良かったのもあったと思いますが。
で、同じような工程でやったにもかかわらず「不味かった」んですよ。
味がうるさい。
ホラ、あれです。
男のひとり暮らしですから、パスタはつくった回数が多かった方でした。
それでもまったく味が違う。
というか次元が違いました。
イメージするなら息のまったく合わないオーケストラのような感じでした。調和が取れていない。味がうるさい。
同じレシピでやったはずなのに全く違ったんです。
実際そのシェフが作るパスタは従業員にもありえないぐらい人気でした。
そのお店の中でいちばんの人気メニューでもありました。いわばファンが生まれ、リピーターを呼び、そのお店を支えているメニュー。
口コミで聞いてそれを食べるためだけにくるお客さんもいるぐらい。
「これ〇〇さんのパスタ?」とお客さんから尋ねられるほどです。
ペペロンチーノといったパスタは「オリーブオイル、パスタ麺、ニンニク、唐辛子」だけのシンプルなメニュー。
極端な話を言えば、それらを混ぜ合わせて作るだけです。
僕が教わったのはぶっちゃけそこに「キノコ」を足しただけのメニュー。でも、そのシンプルな中でもこだわりの違いで天地の差が開く。
小さなこだわりがお客を惹きつけ、レストランの目玉になりファンを呼び、リピーターを産む。
こだわりがビジネスを動かしてしまった事例です。
改めてプロの料理人というのは凄まじいんだなと思わされた出来事です。
YouTube動画でレシピを見てパスタを作るなんてことはできる時代になったけれど、細部の違いというのはどうしても埋められないものだな、と。
食べ物を味わいにいく上でそういう「こだわり」も味わっているのかもしれません。
「神は細部に宿る」は時として数千万円の付加価値を生む
時計職人の世界では、職人の腕に数千万円以上の価値がつくとされています。
機械ではもはや再現不可能だと言われる数ミリ、数ミクロンの世界。
その細部の世界へのこだわりが圧倒的な価格差につながっていく。
あなたはフランクミュラーという時計をご存じでしょうか?
ぜひ公式サイトに足を運んで欲しいんですけど。
一応貼っておきます。
まず価格にビックリすると思います。
時計1個で家が買えますからね。
でも、確かにここにお金を払う人がいて、そのこだわりに価値を見出している人がいる。
いわば、こだわりを突き詰めた先にある職人魂が付加価値を生んでいる。
誰にもマネすることすらできない唯一無二の価値を創造しているわけですね。
このように、こだわりに対して人が何千万という金額を払う世界もあります。
時計職人の「腕」に数千万、下手すれば数億の対価を払うわけです。
数ミクロン単位の世界を作り出していく「腕」にお金を払っている。
「こだわり」によって数千万円の付加価値を生んだ事例から学ぶものは多いと思います。
あなたはどうでしょうか?
こだわりを持てているでしょうか?
神は細部に宿るわけで。
生き方レベルのこだわりはいつしか信念と呼ばれるようになるのではないでしょうか。
信念を持つ男。カッコいいなと思いますね。